先日BOSSの新製品 FZ-1W FUZZ が発表
激戦区のファズ市場にまたしてもBOSSが殴り込んできたんだから一大事だ
去年もBOSSとSOLA SOUNDのコラボ
TB-2Wの発表でお祭り騒ぎとなっていた所
残念ながらこのTB-2Wは数量限定生産で一瞬でSOLDOUT
大衆の味方だと思っていたBOSSにまんまと裏切られた形なってしまった。
が、そこで満を辞してFZ-1Wの発表
TB-2WとはこのFZ-1Wに繋がる壮大な伏線だったのだ!
という一連の騒動の中完全に忘れ去られているBOSS現行コンパクトファズが居た。
そう、FZ-5だ。
今回はFZ-1W発表に際して
あえてFZ-5の紹介記事を書いていこうと思う。
個人的にもこのFZ-5はなかなか好印象なファズペダルでもあるので
そういえばそんな奴いたなーとか
え?そんなのあったの?
なんて思いながら見てほしい。
FZ-5とは
FZ-5はBOSSコンパクトファズペダル
FZシリーズの3代目
ファズと言えばゲルマニウムトランジスタやシリコントランジスタを採用したアナログ回路が一般的である所
このFZ-5はデジタル回路を採用したモデルとなっている。
しかし、デジタルエフェクターでありながらもツマミを3つに厳選する事でファズという無骨な世界観を保っている。
そんなややこしい事をする必要があったのかは本当に謎だがこういうややこしさも含めてファズな感じがする。
そういう、筆者は嫌いじゃない。
3モードFUZZ
本機の特徴はF M Oという3つのモードを搭載しており、それぞれが伝説的名機をモデリングしたサウンドとなっている
Fはジミ・ヘンドリクスが使用していた事でお馴染みFUZZ FACE
ギターのボリュームを操作する事でクリーンから轟音サウンドまでコントロールする事ができる。
ヘンドリクスといえばファズフェイスと言われるくらい彼のイメージが強いモデルだ。
Mは市販品では世界初のコンパクトエフェクターとしても知られているFZ-1A FUZZ TONE。
The Rolling Stonesのsatisfactionなどでそのチープで荒削りなサウンドを聴く事ができる。
Oはオクターブ上の音も加えるオクターブファズOCTAVIA
ジミ・ヘンドリクスがアイディアを出し、ロジャーメイヤーが完成させたという逸話が残っている。
音が減衰するにつれて高い音が混ざってくる気持ちの良いサウンド。
ヘンドリクスのスタジオアルバムだけでなく、ライブアルバムBand Of Gypsysでもそのサウンドを聴くことができる。
FUZZFACE、FZ-1A、OCTAVIA
とどちらかというと玄人好みのラインナップになっていて
あえてBIGMUFFを収録しなかったこともBOSSのこだわりを感じる。
現に色んなメーカーからBIGMUFFのコピーモデルがリリースされているし
本家エレハモでさえ現行だけでも数えきれないほどのBIGMUFFをラインナップしている。
そんな事情を考えるとあえてBOSSがそこをやる必要はないと考えたのだろう。
なんにせよ入手困難なヴィンテージファズを収録してくれているのは非常に嬉しい。
サウンドもかなりそれっぽく
手軽に60sな気分を味わうことが出来る。
3モード搭載でお手頃価格、操作も簡単と言うことで入門にも最適な一台と言える。
オリジナルを超えたブーストサウンド
ただヴィンテージファズをモデリングするだけでは終わらないのがBOSS
FZ-5のゲインは12時でモデリング元モデルのMAXゲインに設定されていて
それ以降に回していくと
オリジナルを超えた荒々しいブーストサウンドを鳴らすことができる。
また、ノイズもかなり抑えられていて
そこら辺はデジタルエフェクターの強みと言った所か。
比較的操作感の癖も少なく、デジタルと言われない限りはデジタルだった事はわからないレベル。
そしてデジタル回路の最大の利点はゲルマニウムトランジスタのサウンドも気温や天候を気にせず鳴らせる点。
色んな意味でオリジナルを超えてくるが
ノイズも操作感もファズの醍醐味的な要素ではあるから悩ましい。
ブースターとして用途
FZ-5はブースターとして使っても意外と良い効果が得られる。
Fモードでは特にLEVELが大きめに設定されているから
グッとアンプを押し出すのにも使える。
少しFUZZを混ぜることでクラシックロック風のリードサウンドを作ることが出来る。
これはこれでオーバードライブやブースターとは違った良さがある。
積極的に音を作りたい人は試す価値があるかもしれない。
まとめ
FZ-5は入手困難なビンテージファズのサウンドをリーズナブルに楽しめる
3モードデジタルファズペダル。
オリジナルの実機よりも深く歪ませる事もできる上にノイズも少ない。
非常に使いやすくアレンジされたファズに仕上がっている。
こんな人におすすめ
FZ-5はこんな人におすすめ
・ビンテージファズを手軽に楽しみたい人
・初めてのファズを探している人
・使い易いファズを探している人
どちらかというとコアユーザーではなくライトユーザー向けのエントリーファズと言った印象。
FZ-5よりもエグい個性派はいくらでもあるからね
それでも玄人をも唸らせるポテンシャルと魅力は秘めていると思う。
使い易さを追求したファズはかなり貴重。
評価チャート
三つのビンテージファズをモデリングしたサウンドを収録し、オリジナルを超えた過激なブーストサウンドも楽しめる。
ファズにしては汎用性が高く、Fモードではクリーンから轟音まで、Mモードではチープで荒削りな独特なサウンドを、Oモードでは音楽的な心地よいファズサウンドをカバー。
更にFモードはブースターとしてもしっかりプッシュしてくれる。
あらゆるシーンに無理やりフィットさせる事が可能だ。
派手さ、汎用性は満点。
デザインは一見他のBOSSと同じだが、よく見ると表面に凹凸があったりデジタルでありながらシンプル操作を実現している。ファズの無骨な世界観を表現したグッとくるデザインだ。
サイズは昔ながらのBOSSコンパクトって感じ。
デザインは満点、サイズは普通評価。
約¥10,000でビンテージファズが三台も楽しめる点、所有感を満たす無骨なデザインを加味すると素晴らしいコスパだといえる。
コスパは満点評価とさせてもらった。
なんとこのブログの評価チャートの中でもトップクラスのスコアとなってしまった。
正直こんなはずではなかったのだが
逆に言うともっと欠点があった方がファズは魅力というか色気を増す気がしている。
成績はいいけど魅力の無い生真面目な奴。
もっとファズらしくしやがれという感じで無理やり評価を落とす事にしよう。
現にBOSSコンパクトの中ではモブ中のモブなんだからな。
FZ-1Wの発表と共にまたファズ人気が盛り上がる事が予想される。
その中でこのFZ-5も見直されるべきモデルだと思って紹介させて貰った。
・ローノイズ
・安定したデジタル回路
・分かりやすいツマミ
・程よいサイズ感
と凄くハイスペックに見えて実は玄人には物足りないというか
ファズにとって大切な
・ひどいノイズ
・不安定なアナログ回路
・分かりにくいツマミ
・無駄にデカくて変な形の筐体
といった要素を180度逆にしてしまっている
が、我々ファズライトユーザー、エントリーユーザーにとってはかなり丁度良い
実力のある企業ほど常識を180度裏返した上で新たな価値を提案してくるものだ。
BOSS、Roland万歳。
是非店頭で見かけたらこのFZ-5と他の定番ファズを並べて試奏してみて欲しい。
参考になれば幸いだ。