楽器店で勤めていた頃も
ギターを教える立場になった今でも
これからギターを始めようと思っているギター入門希望者の方から度々こんな質問を頂く機会がある。
「私は左利きなのですが、やはり左利きの人は左利き用のギターを買うべきでしょうか?」
それに対しての筆者の答えは
「これから始めるのであれば、右利き用のギターで全く問題ないですよー」
と常にこう勧めている
その理由をこれから解説していく。
左利きでこれからギターもしくはそれに類する楽器を始めようと思っている入門希望者には是非見て欲しい。
左利き用の楽器とは?
左利き用の楽器を探している人にまず考えて欲しいのは
左利き用のピアノってあるのかい?
ってこと。
少なくともピアノも扱っている楽器店のスタッフを経験していた筆者でも見たことも聞いたこともない。
世界中探せばあるのかもしれないけど
あるのかもしれないの域を出ないくらい左利きのピアノっていうのはマイナーな楽器なんだ。
でも左利き用が無いなんて左利きの人不利じゃね?って話になってくるんだけど
そもそもピアノというのは左手で低い音、右手で高い音を演奏する。
という事は左利きは低い音、右利きは高い音が得意であるということもなんとなくイメージが出来る。
低音パートが複雑な曲はもしかすると左利きの方が有利なのかも。
じゃあギターは?
っていう話になってくるんだけど
そもそもギターは左手が難しい
ギターは左手指を複雑に動かして演奏する楽器だ
そしてギターの定番挫折ポイントといえば
“F”というコード
F「私の難易度は53万です。」
という言葉とともに多くの入門者を挫折に追い込んだ事で知られる悪のカリスマ的コード
右利きのギタリストは皆このFというコードを始め、さまざまなコードに苦しめられてきた。
このコードというのは和音のことで、ギターは左手指で複数の弦を押さえてコードを演奏する。
反面右手はというと、左手に比べて動作は単調。
※かと言って簡単というわけではない
筆者はギターインストラクターをやっているという事もあって難しいコードを指導する機会が結構あるんだけど
実はギターって左利きの方が有利なんじゃね?
って思ったりもする。
少なくとも左利きだから極端に不利かと言われると全くそんな事はない。
そして、左利き用で始めなくても良い最も大きな理由が
お金も時間もかかる
言わずもがな
左利き用のギターはまず本数が少ないし
右利きと同じグレードでも割増価格で販売される事が多い。
さらに左利き用も用意されているモデルって圧倒的に少ないからデザインやスペックも市販で手に入るモデルも限定されてくる
右利き用なら見つかるのに同じ条件の左利き用の楽器がなかなか見つからない、もしくは存在しない事も大いにある。
もしそのスペックの楽器をどうしても手に入れたいのであれば
右利き用の楽器を改造するorその仕様でオーダーメイドで作るしか無い訳だ。
そうなると必然的にグッと費用がかかってしまう上にオーダーともなると早くても2ヶ月
時には1年以上納期がかかる場合もあるから
時間もお金もかかるよねと、
更に
左利き用の楽器は売りに出そうとした時の買取金額が安くなる傾向がある。
せっかく頑張って買ってもその後の価値はガクンと落ちてしまう。
逆に考えると中古なら左利き用の方が安く買えるって事もよくあるけど
基本的にあらゆる点で右利き用よりも条件が悪い傾向である事は明白。
右利き用を使っているプレイヤーからしたら
欲しい仕様の楽器を適正価格でスパッと手に取れる事ができるというのは当たり前の事だけど
左利き用は全くその逆で
欲しい仕様の楽器は無いから作るしか無いため割増価格で何ヶ月も待ってようやく手に取れる
という事が当たり前。
左利き用を使うという事はそれ相応の覚悟が必要になってくる訳だ。
まとめ
とはいえ、左利きにもメリットはある。
なんたって目立つ!
ってこれに尽きる
1発で覚えてもらえるのは左利きの特権だし
“左利きのプレイヤー”というポジションを獲得できるのはとてつもないアドバンテージだ。
が、それに対するデメリットも強烈
そもそも普通のギター使っても全然不利じゃあないという所を考えると、、、
という事で筆者は左利きの人にも右利き用の楽器で入門して貰う事をオススメしている訳だ。
ただ初めから左利きで始める覚悟のある方を引き止めようとは思っていないので
どちらを選ぶかは結局自分次第。
この記事を書いている筆者は無責任な右利きなので
左利きのレフティ愛用者の話も聞けば悔いのない選択が出来ると思う。
左利きの方の楽器購入の参考になれば幸いだ。