エフェクターをOFFにている時も信号はエフェクターの影響を受けています。

どうも、7丁目ギター教室新潟江南校の吉田です。

憧れのペダルを何個か手に入れて、ボードに並べる。ギタリストにとって最高に幸せな瞬間ですよね。

でも、ふと気づきませんか?
「全部OFFにしてるのに、ギターをアンプに直で繋いだ時より音がこもっている気がする……」

それは耳の錯覚ではなく、「インピーダンスの劣化(音痩せ)」という物理現象です。

エフェクターの数が増えるほど、この問題は深刻になり、あなたの自慢のギターの「芯」を奪っていきます。

結論から言うと、バッファは信号を強くする「守りの盾」であり、トゥルーバイパスは音の変化を最小限にする「隠し通路」です。

ギター歴18年、元楽器店員で現在は講師としていくつものボードを見てきた私が、この「永遠の論争」にロジカルな終止符を打ちます。

この記事を読めば、あなたのボードから「なんとなく音が悪い」が消え、理想のトーンへの最短ルートが見えるはずです。

ゲイン・アゲ美
ゲイン・アゲ美
最近エフェクターを5個繋いだら、クリーンのキラキラ感が減っちゃったんだよね。バッファを入れるといいって聞いたけど、どうなのかな?

モダン・テク子
モダン・テク子
それは典型的なハイインピーダンス信号の減衰だ。パッチケーブルの接点抵抗と静電容量を舐めてはいけない。理屈で考えれば、システムの最前段に高品質なバッファを置くのが正解だ。

アド・リブ代
アド・リブ代
でも、トゥルーバイパスの「楽器本来の音」っていうロマンも捨てがたいわよね。あのピッキングした時の生々しい反応が好きな人も多いし……、どう使い分けるのが大人なギタリストかしら?

バッファは「日焼け止め」:信号を守るためのロジック

バッファの役割を例えるなら、「強力な日焼け止め」です。

炎天下(長いシールドや多くの接点)の下で、肌(ギター信号)がダメージを受けてボロボロにならないように、あらかじめ保護膜を張って守ってあげる。

これがバッファの正体です。

ハイインピーダンスという「ひ弱な信号」

ギターのピックアップから出力される信号は、「ハイインピーダンス」と呼ばれる非常に微弱で不安定な状態です。

この信号は、シールドを数メートル通るだけで高域が削れ(ハイ落ち)、ノイズの影響をモロに受けます。

バッファは、このひ弱な信号を「ローインピーダンス」という、外敵に強い屈強な信号へ変換してくれます。

これにより、エフェクターを10個並べようが、10メートルのシールドを引き回そうが、音の鮮明度を保つことができるのです。

「日焼け止め」が肌に合わないこともある?

しかし、日焼け止めが肌に合わない(肌荒れする)人がいるように、バッファを通すことで「音が電気的に加工された感じがして嫌だ」という意見もあります。

いわゆる「バッファ臭さ」と呼ばれる、音が妙に明るくなりすぎたり、コンプレッション感が出てしまう現象です。

そのため、最近ではBOSSの「技 WAZA CRAFT」シリーズのように、極めてナチュラルな質感のプレミアム・バッファを搭載したモデルが重宝されています。

10年ほど前まではトゥルーバイパスこそが至高であるという思想がアマチュアギタリストの間で広く支持されていましたが、バッファに関する情報が正しく流布された現代においてはむしろこうした高品質なバッファを積極的に求めるトレンドに変わってきているなーというのが筆者の肌感です。

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トゥルーバイパスは「すっぴん」の美学:純粋さゆえの弱点

一方で、トゥルーバイパスは「すっぴん(素肌)」の状態です。

エフェクターをOFFにしたとき、信号が回路を一切通らず、物理的なスイッチで入り口から出口まで「直通」になる仕組みを指します。

「そのままの音」という最大のメリット

トゥルーバイパスの魅力は、何と言っても「回路による色付けがない」こと。

最高級のギターとアンプを使っている場合、その「トランジェント(音の立ち上がり)」や繊細な倍音構成を一切損ないたくない。
そんな純粋主義なプレイヤーには最適な選択です。

致命的なデメリット:線路をぶった切る衝撃

しかし、トゥルーバイパスには工学的な弱点があります。

エフェクトを切り替える瞬間、内部では信号の通り道を物理的にガチャンと切り替えています。

これは、「猛スピードで走っている列車の線路を、走行中にいきなり切り替える」ようなものです。

実際、そんなことをすれば大事故が起きますが、ギター信号でも同じことが起きています。これが「スイッチングノイズ(パチッという音)」や「一瞬の音切れ」の正体です。

また、全エフェクターをトゥルーバイパスにすると、全てのエフェクトをOFFにした場合複数の接点を通過するため結局「すっぴんのつもりが、肌がボロボロ(音痩せ)」という本末転倒な事態に陥ります。

スイッチャーは「運行管理システム」:全てを解決する司令塔

エフェクターが増えてきて、バッファの有無や音切れに悩み始めたら、いよいよ「プログラマブル・スイッチャー」の出番です。

スイッチャーは、例えるなら「線路の運行管理システム」。

個々のエフェクターを常にONの状態にしておき、スイッチャーのループ内に閉じ込めます。信号を流すか通さないかをスイッチャー側でスマートに制御するのです。

スイッチャー導入のメリット

  1. 音切れ・ノイズの解消: スイッチャー内部には高品質なバッファが搭載されていることが多く、切り替えも電子制御でスムーズです。

  2. 信号の最短化: 今使っていないエフェクターは回路から完全に切り離されるため、音痩せを最小限に抑えられます。

  3. タップダンスからの解放: 3つのエフェクトを同時に踏み換える必要がなくなり、1つのスイッチで音色を総入れ替えできます。

スペック比較:バッファ vs トゥルーバイパス

どちらがあなたのスタイルに合うか、表で整理しました。

特徴バッファ(日焼け止め)トゥルーバイパス(すっぴん)
OFF時の音質常に安定・明るくなるギター本来の音・劣化しやすい
信号の強さローインピ(強い)ハイインピ(弱い)
切り替え時スムーズ(音切れなし)ポップノイズ・音切れの可能性あり
向いている人ライブ派、ボードが巨大な人宅録派、アンプ直に近い音を好む人
おすすめの位置ボードの最前段(必須級)歪みペダルなど、特定の個性が欲しい場所
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モダン・テク子
モダン・テク子
結局、先頭に高品質なバッファを1つ置き、後はトゥルーバイパスで固めるかスイッチャーで管理するのが、現代の音響工学における最適解(ベストプラクティス)だ。

アド・リブ代
アド・リブ代
確かに、一番最初でしっかり信号を守ってあげれば、後は「すっぴん」でも綺麗でいられるものね。大人の知恵って感じだわ。

ゲイン・アゲ美
ゲイン・アゲ美
なるほどね!私はとりあえず、バッファ付きのチューナーを先頭に置いてみるよ。それなら導入もしやすいしね。

まとめ:あなたのトーンを守るための3箇条

  1. 最前段に「守護神」を置く: ボードの入り口にバッファ(あるいはバッファ付きの高品質ペダル)を配置し、信号をローインピーダンス化しましょう。

  2. 「すっぴん」の限界を知る: トゥルーバイパスだけで組むと、接点が増えるほど高域が死んでいきます。5個以上繋ぐなら対策が必要です。

  3. 複雑化したらスイッチャー: 音切れや踏み間違いがストレスになったら、それはシステムを「管理」するタイミングです。

高品質なバッファを内蔵したチューナーなどは、初心者から上級者まで「繋ぐだけで音が良くなる」魔法のアイテムとして機能しますよ。

BOSSのTU-3Wは非常に高品質なバッファを内蔵した上でトゥルーバイパスも選択でき、反応もよく野外での視認性も高いのでおすすめです。黒い筐体もカッコいいですね。

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吉田寛定
新潟市在住のギターインストラクター。 趣味ギタリストに向けた“ちょうどいい温度感”の発信を心がけています。 新潟市江南区のギター教室|7丁目ギター教室にて無料体験レッスン受付中。亀田・横越エリアの方はぜひどうぞ。
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