ギター初心者向け

ギター挫折】「下手な理由」の3割は弦高のせい説。物理で暴く初心者狩りの正体

「Fコードが弾けないのは、私の根性が足りないからだ…」

もしあなたがそう思って、指の痛みに耐えながら自分を責めているなら、今すぐその思考を一旦捨ててください。

あなたが弾けない理由は、指の力が弱いからではありません。「物理法則」が邪魔をしているからかもしれません。

どうも、7丁目ギター教室新潟江南校の吉田です。

安い初心者セットのギターを買って、「指が痛くて押さえられない」「音がビビる」と悩んでいる人は山ほどいます。そして多くの人が「自分には才能がない」と挫折していきます。

でも、断言します。

弾きにくいのは、あなたのせいじゃありません。ギターの「弦高(げんこう)」が高すぎるせいです。

今回は精神論を一切排除し、「張力(テンション)」と「木材の物理的特性」から、なぜ安いギターは弾きにくいのか、そしてどうすれば「弾けるギター」に変わるのかを解説します。

ゲイン・アゲ美
ゲイン・アゲ美
ギター初心者が最初にぶつかる壁って、実は「技術」じゃなくて「整備不良」なんだよね。ボロボロの整備不良車で公道に出ようとしてるようなもんさ。

アド・リブ代
アド・リブ代
えっ、そうなの!? 私てっきり、指の皮が薄いから痛いんだと思ってたわ…。初心者の頃にFコード押さえるたびに指がちぎれそうになってたのは、私の愛が足りないからじゃなかったのね😭

モダン・テク子
モダン・テク子
甘いな。それは愛の問題ではない。物理の問題だ。作用点(指)にかかる負荷が、支点(ナット・サドル)の設定ミスで最大化しているだけだぞ。

「弦高が高い」=「指への拷問」である物理的理由

「弦高」とは、フレットの頂点から弦までの距離のことです。

たった数ミリの話ですが、この微差が「指に必要な筋力」を体感的に何倍にも跳ね上げます。

1. 「距離」が負荷を倍増させるメカニズム

 

ギターの弦を押さえるという行為は、物理的には「ピンと張ったワイヤー(弦)を、指の力で変形させてフレットに押し付ける運動」です。

弦には常に強い「張力(テンション)」がかかっています。

弦高が高い場合、指が弦を押し込む「移動距離」が長くなります。移動距離が長いということは、弦をより大きく引き伸ばす必要があるため、指を押し返そうとする反発力が一気に強くなります。

【弦高と指の負荷のイメージ】

弦高の状態押し込む距離必要な指の力(体感値)結果
適正(1.5mm前後)短いマウスをクリックする程度ラクに鳴る
高い(3.0mm以上)長い固い洗濯バサミを開く程度指が痛い・音が鳴らない

特にFコードのようなセーハ(人差し指で全部押さえる)の場合、ナット側(ヘッド側)の弦高が高いと、テコの原理で「支点に近い場所を無理やり押し込む」ことになり、プロでも演奏を拒否するレベルの重労働になります。

2. なぜ初心者セットは「高弦高」で出荷されるのか?

 

では、なぜ買ったばかりのギターがそんな「拷問設定」なのでしょうか?

それは、メーカー側が「ビビリ(弦がフレットに当たって雑音がすること)」を極端に恐れているからです。

安価なギターは、フレットの高さが不揃いだったり、ネックが動きやすかったりします。弦高を低く攻めると、すぐに音が詰まって「不良品だ!」とクレームになります。

だから、あらかじめ**「安全マージン」をとって弦高を高く出荷している**ことが多いのです。

つまり、「メーカーがクレームを避けるための設定」が、あなたの指を殺しているというわけです。

ゲイン・アゲ美
ゲイン・アゲ美
要するに、出荷状態の安ギターは「初心者殺しのハードモード」設定になってるってこと。これを根性でねじ伏せようとするのは非効率極まりないね。

安価なギターの「ネック」は生き物のように動く

「買った時は弾きやすかったのに、1ヶ月経ったら激重になった」

これも初心者あるあるです。これは物理的な**「木材の安定性」**の話になります。

安い木材は「張力」に負ける

 

ギターの弦は、レギュラーチューニング時で全体で約40kg〜80kgもの力でネックを引っ張っています。常に小学1年生数人がネックにぶら下がっているような状態です。

高価なギターは、十分に乾燥・シーズニングされた「動かない木材」を使います。しかし、コストを削った安価なギターは、乾燥が不十分な木材や、強度の低い材を使うことがあります。

【負の連鎖】

  1. 弦の張力に負けて、ネックが「順反り(弓なりに曲がる)」する。↓
  2. ネックが反ると、指板と弦の距離が離れる。↓
  3. 弦高がさらに高くなり、弾くのが不可能になる。

ネジの緩みと精度の低さ

 

木材だけでなく、金属パーツもコストカットの対象です。

安価なギターは部品のグレードも低く、ペグやブリッジのネジが緩みやすい傾向があります。これによりチューニングが安定せず、せっかく調整してもすぐに狂ってしまいます。

「弾くたびにチューニングが狂う」「昨日合わせた弦高が今日はずれている」。これはあなたの耳や腕のせいではなく、物理的な構造上の限界なのです。

モダン・テク子
モダン・テク子
木材中の水分含有率が高いと、日本の四季(湿度変化)でネックは暴れ馬のように動くぞ。トラスロッド(調整棒)で直しても、またすぐに反る。まさにイタチごっこだ。

アド・リブ代
アド・リブ代
ひええ…私のギター、もしかして今、反抗期なの? 弾きにくいのは私のせいじゃなくて、ギターがグレてただけなのね!ちょっと安心したわ。

「調整(セットアップ)」に課金せよ。それが最強の機材投資

じゃあ、高いギターを買わないとダメなのか?

もちろん予算があるなら5万〜10万円以上のギターを買うのが「イージーモード」への近道です。

しかし、今ある安いギターでも、「プロによる調整」を施すことで、劇的に弾きやすくすることは可能です。

ステップ1:現状を知る「セルフチェックリスト」

 

まずは自分のギターが「弾ける状態」か確認しましょう。

  • 12フレットの弦高チェック: 6弦側で3mm以上、1弦側で2.5mm以上隙間が空いていませんか?

  • ナット側のチェック: 1フレットを押さえた時、異常に力が必要ではありませんか?

  • ネックの反りチェック: ヘッド側からボディ側を見た時、ネックが極端に弓なりになっていませんか?

これらに当てはまる場合、あなたの不調の原因は機材にあります。

ステップ2:プロに依頼する「リペアオーダー」

 

楽器店やリペアショップに持ち込み、「弾きやすく調整してください(弦高を下げてください)」と依頼しましょう。

【リペアの目安】

  • 費用: 3,000円〜10,000円程度(内容による)

  • 期間: 即日〜1週間程度(店舗の混み具合による)

【主な調整内容】

  • ナット溝の調整: これだけでFコードの難易度が半分以下になります。

  • ネックの反り調整: まっすぐに戻すだけで、弦高が適正化されます。

  • サドル/ブリッジ調整: 全体のバランスを整え、無駄な力を不要にします。

注意点: 調整で「誰でもプロ並みに弾ける」わけではありません。ですが、少なくとも「不当な重荷」を下ろした状態でスタートラインに立つことはできます。

もし、「修理費が高すぎて新しいのを買った方が安い」と言われたり、直してもすぐにネックが反ってしまう場合は、そのギターは**「寿命」かもしれません。

その時は、無理に弾こうとせず、「記念機」として部屋に飾ってあげる**のも一つの愛情です。そして、次は弾きやすい「相棒」を探しに行きましょう。

ゲイン・アゲ美
ゲイン・アゲ美
「弘法筆を選ばず」って言うけど、初心者は弘法じゃないからね。筆(ギター)を選ばないと字(演奏)にならないよ。調整代をケチって挫折するより、課金して快適さを買ったほうが絶対お得だよ。

よくある質問(Q&A)

 

Q. 自分で調整しちゃダメですか?

 

A. 「触っていい範囲」と「ダメな範囲」があります。

【OK! 自分でやってみよう】

  • 弦交換: 慣れれば必須スキルです。

  • クリーニング: 愛着も湧きます。

  • チューニング: 毎回の基本です。

【NG! 初心者は絶対にやめておけ】

  • ナットの溝切り: 専用のヤスリが必要です。「もう少し下げたい」と思って削りすぎると、開放弦がフレットに当たって常に「ビビリ音」が鳴るようになります。こうなるとナット交換(修理費高額)しか道がありません。

  • トラスロッドの大幅な調整: ネックの中の鉄芯を無理に回すと、最悪の場合ネックが割れるか、ロッドが折れます。これは車で言えば廃車レベルの故障です。まずはプロに「正しい状態」を作ってもらいましょう。

Q. 弦高って何ミリが正解ですか?

 

A. エレキなら12フレットで1.5mm〜2.0mmくらいが目安です。

個人の好みやプレイスタイルによりますが、初心者の場合、6弦側で2.0mm前後、1弦側で1.5mm前後まで下げてもらうと、驚くほど弾きやすくなります。3mmを超えていたら、それはもう「握力トレーニングマシン」です。

まとめ

 

  • 弾きにくさの正体は「弦高」: 物理的に弦高が高いと、必要な指の力は何倍にもなる。

  • 安ギターの宿命: 安い木材はネックが反りやすく、放置するとすぐに「弾けない状態」になる。

  • 調整は必須投資: 「下手だから」と我慢せず、プロに調整を依頼しよう。数千円で世界が変わる。

最初のギター選びや調整にお金をかけることは、決して贅沢ではありません。「弾きやすい」ということは「触りたくなる」ということであり、それが継続と上達への一番の近道だからです。

そして、ギターが弾きやすくなったら、そこからが本当のスタートです。

次は少しずつ「正しいフォーム」や「リズム練習」に取り組んでいきましょう。快適なギターなら、練習がもっと楽しくなるはずです!

今日のワンステップ:

今すぐ定規を持ってきて、自分のギターの「12フレットの金属の上〜弦の下」までの隙間を測ってみてください。もし3mm以上あったら、週末に楽器屋へGOです!

あなたのギターライフが、無駄な力みから解放されますように!

おまけ

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ABOUT ME
吉田寛定
新潟市在住のギターインストラクター。 趣味ギタリストに向けた“ちょうどいい温度感”の発信を心がけています。 新潟市江南区のギター教室|7丁目ギター教室にて無料体験レッスン受付中。亀田・横越エリアの方はぜひどうぞ。

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