ギター用マルチエフェクターの中でも、長年にわたって支持されているBOSSの「GTシリーズ」。
その中でも現行フラッグシップとして知られる「GT-1000」は、2018年の発売以来、多くのギタリストから評価されてきた名機だ。
だが今(2025年)、GT-1000を買うのはちょっと待った方が良いかもしれない。
この記事では、なぜ“今”GT-1000の購入を控えるべきなのか、そして次期モデルがどう進化する可能性があるのかを、過去の発売サイクルや近年のBOSSの動向をもとに深掘りしていく。
今GT-1000を買うのが微妙な理由
結論から言うと、GT-1000は名機である一方、タイミングとしては買い時ではない。
その理由は、次のGTシリーズが近々発表される可能性が非常に高いからだ。
過去モデルの発売年から見る予兆
GTシリーズの歴史をざっとおさらいしてみよう。
モデル | 発売年 | 備考 |
---|---|---|
GT-5 | 1996年 | 旧世代の完成系 |
GT-8 | 2004年 | フレーズループ、チャンネル切替が充実 |
GT-10 | 2008年 | カスタムアンプ&歪み機能が話題に |
GT-100 | 2012年 | ツインLCD搭載&ユーザーインターフェース刷新 |
GT-1000 | 2018年 | AIRDアンプ搭載で音質革命 |
この流れからもわかる通り、だいたい4〜6年ごとに新型が登場している。GT-1000が発売されたのは2018年。
つまり、2025年の今はすでに“7年目”に突入しており、次期モデルのアナウンスがいつあってもおかしくない状況だ。
近年のBOSSの開発傾向が示す「進化の兆し」
GTシリーズの後継機が待たれる理由は単なる発売周期だけではない。
近年のBOSSの開発姿勢を見ていると、「音の再現精度」や「機能の多様性」を軸に進化が加速しているのが分かる。
特に注目すべきは以下の流れだ。
初期BOSSペダルのプラグイン化(OD-1、DS-1、SD-1など)
技クラフトシリーズでの名機復刻(HM-2W、CE-2W、DC-2Wなど)
名機ディレイの現代仕様再構築(RE-202、SDE-3000D)
これらの開発成果が、マルチエフェクターにも転用される流れが読み取れる。
次期GTシリーズはどう進化する?
次期GTに搭載されそうな新機能は、すでに業界内外でささやかれている。筆者の予想も含めて、具体的に見ていこう。
1. ヴィンテージサウンドの完全再現
RE-201(スペースエコー)やSDE-3000(デジタルディレイ)など、往年の名機が本体収録される可能性は高い。GT-1000でもこれらは収録されていたが、やはり専用機と比べると物足りなさを感じる出来でもあった。
2. ヴィンテージファズの充実
技クラフトで注目されたトーンベンダーや定番のファズフェイス系、ビッグマフ系などをさらにブラッシュアップさせたものが収録される可能性も。
TB-2W、FZ-1Wなどファズの開発にも積極的な姿勢を見せていたBOSS。
また音楽シーンにおいても今、ファズを取り入れていこうというムーブメントも感じる。
3. UIの大幅刷新
GX-100で導入されたカラー液晶/タッチパネルの採用。操作性が格段に向上し、感覚的な編集も可能になると予想される。
正直他のメーカーが当たり前にカラーディスプレイを採用している中、GTのディスプレイは頼りなさがあった。
4. ワイヤレスレシーバー内蔵
Line6やNUXなど競合がすでに採用しているワイヤレス機能。BOSSが内蔵型ワイヤレスに対応すれば、ライブやリハでの利便性が一気に向上する。
5. モバイル対応の強化
iOS/Android対応のオーディオインターフェース機能も、もはや必須レベル。DAWや配信用途でも活躍が期待できる。
IR-200やIR-2では既に採用されているのでこれも後継機に採用されると嬉しい。
あの“マニアックな面白さ”を取り戻してほしい
GT-10時代にあった「カスタムアンプ」「カスタム歪みエフェクター」など、こだわれる機能がGT-100以降で失われてしまったのは残念な点だった。
開発責任者が変わって音の方向性もGT-10からGT-100でかなり変わったという話をこっそり聞いた事があるが、それで言うと正直筆者はGT-10の感じが好きだった。
仮に次期モデルで、プリ管の種類・出力トランス・ワット数・スピーカーの大きさ・配置などが細かく設定できる“アンプクラフト機能”が実装されれば面白いなーとは思うけど。
BIASがあんまり流行らなかった事を考えるとそこは微妙のかなー。
RolandのAIRAやBoutiqueシリーズでは、電子部品単位でシミュレーションする技術がすでに確立されており、GT後継機に応用される可能性は十分にある。
アンプモデルにこの技術が採用されればより生々しいサウンドが期待できる。
GTシリーズならではの“独自性”も忘れないでほしい
GTシリーズの面白さは、その「ギターに非依存な機能」にもあった。たとえば:
トーンモディファイ(音の質感補正)
ギターシミュレーター(PU変換など)
オートリフ(自動演奏的エフェクト)
ギターシンセ系エフェクト
こういった遊び心のある機能こそが、GTシリーズを他と差別化してきた最大の魅力だった。GT-1000ではこれらの多くが削除され、物足りなさを感じたユーザーも多い。
加えて、実戦使用に耐えうるトランスポーズ機能(半音下げなどのチューニングをエフェクターで切り替えられる機能)の搭載もぜひ実現してほしいところ。
ライブや宅録での利便性は段違いになる。
他社との競争が激化する2025年、市場は再編成期に
Kemper Stageの後継「KEMPER MK2」が発表済み
Line6の新型「HELIX STADIUM」が秋頃発売予定
これらの動きは、プロユースのハイエンド市場に新たな競争が始まっていることを意味する。BOSSとしてもここで存在感を示せなければ、GTシリーズのフラッグシップとしての地位が揺らぐ可能性がある。
今年2025年の9月頃には、BOSSからも何かしらの発表があるのではと噂されている。
GT-1000は完成度が高い。しかし“今”は買い控えが吉
GT-1000自体は非常に完成度の高いマルチエフェクターであることは間違いない。
しかし今このタイミングで新品購入を検討しているなら、せめて数ヶ月は様子を見た方が良いだろう。
なぜなら:
発売から7年経過=次期モデルが出る可能性が高い
BOSSは近年「名機復刻」「技術応用」に積極的
他社も続々と新製品を発表しており競争が激化
過去のGTシリーズには無かった新要素が搭載される可能性がある
BOSSの技術力を信じたいユーザーも多いはずだ。筆者としても、あえて今買わずに、次期モデルの発表を待つことを強くおすすめしたい。