「上手くなるには良い道具を使うべきだ」──
ギターをやっていると、そんな話を耳にすることがある。
確かに、高級なギターやアンプは魅力的だし、良い音が出るとテンションも上がる。ピックアップを交換してみたり、コンデンサーをビンテージに替えてみたり。音の違いに耳を澄ませて、「なんか良くなった気がする」と喜ぶ時間も、ギタリストにとっては楽しいものだ。
けれど、こうも思うのだ。
その時間、練習に回したらどうなっていただろうか?
道具は大事。でも、手が動くことの方が大事
筆者は昔から「弘法筆を選ばず」という言葉が気になっている。
あれってつまり「上手い人はどんな筆でも書ける」って話だと思われがちだけど、実は逆なんじゃないかと思っている。空海(弘法)ほどの書家ともなれば、筆の出来なんか気にしている暇もないほど、書くこと自体が好きだったんじゃないか。
つまり、良い筆を使ったから上手くなったのではなく、書くのが好きで続けていたから、結果的にどんな筆でも自在に扱えるようになったということ。
これはギターにも通じる。
「良いギターだから上手くなる」んじゃなくて、「ギターが好きで弾き続けたから、どんなギターでも良い音が出せるようになった」って話のほうが、しっくりくる。
ピックアップを替えても、腕前は変わらない
ギタリストはつい機材に凝ってしまう。
ピックアップの出力、コンデンサーの値、ポットのブランド、ケーブルの材質……。それらをこだわり始めると、底なし沼にハマる。もちろん、それも楽しい。けれど、それを変えたところで、運指がスムーズになるわけでも、ストロークのタイム感が良くなるわけでもない。
機材の良し悪しと、演奏の上達は似て非なるものだ。
「音が気持ちよくなって、モチベーションが上がった」という副次的な効果はあるかもしれない。だが、手を動かした分しか上達しないという現実は変わらない。
ギタリスト最大の敵、それは「誘惑」
ギターを弾くとき、我々は常に選択を迫られる。
「機材の比較動画をYouTubeで見るか」
「練習アプリを開くか」
「はたまたSNSで他人の演奏動画を眺めて終わるか」
練習のつもりで始めたのに、気づいたら機材情報を漁って終わっている──
そんな経験、誰しもあるのでは。
ギタリストにとって最大の課題は、「手を動かす時間を確保すること」だと思う。
そしてそれは、シンプルだけど、何より難しい。誘惑が多すぎる。機材、SNS、動画、レビュー、ショップサイト……。“上手くなった気”にさせてくれるコンテンツに囲まれている現代において、「黙って弾く」というのはかなり意識的な行動なのだ。

結論:道具に頼るな。でも、好きなら凝っていい
ここまで書いておいてなんだが、筆者も機材が大好きだ。
ピックアップも何種類か試したし、コンデンサーやノブにもこだわった時期がある。音色の違いに悩み、結局元に戻して「やっぱこれか」と落ち着いたこともある。
でも、それで劇的に上達したか?といえば答えはNOだった。
機材をいじるのは、「ギターが好きだから」こそ。
でも、上手くなるのは“弾いた分だけ”だ。
だから、道具に固執するのではなく、道具は好きな範囲でこだわればいい。だが“それで上達する”とは思わないほうがいい。
ギターが上手くなる一番の近道は、シンプルにこうだ。
「気づいたら1時間弾いてた」状態をどれだけ作れるか。
弘法が筆の質に左右されなかったように、ギタリストも最終的には機材を気にせず弾けるようになるのが理想だろう。だがその境地に行くには、結局は練習しかない。
だから、迷ったときはまずギターを手に取ろう。
ピックアップのスペックは、また後で調べればいい。
Q&Aでこの記事を振り返り
Q:ギターが上手くなるには、やっぱり良い機材が必要?
A:必ずしも必要ではありません。良い機材はモチベーションの面でプラスにはなりますが、上達そのものは「どれだけ弾いたか」に依存します。
Q:ピックアップやコンデンサーを替えると演奏も変わる?
A:音色は変わっても、技術は変わりません。演奏スキルの向上とは直接関係がないと考えましょう。
Q:道具にこだわるのは無駄?
A:無駄ではありません。ギターが好きで触れる時間が増えるなら、こだわる意味は十分にあります。ただ、それが「上達の代わり」になってしまうと本末転倒です。
Q:「弘法筆を選ばず」はギタリストにも当てはまる?
A:はい。ギターを弾き続けることで、どんな機材でも自分の音を出せるようになる。それが「弘法レベル」の到達点です。まずは“手を動かす”ことから始めましょう。
最後に
ギターは本当に楽しい趣味です。
だからこそ、上達を焦ったり、機材選びで悩みすぎたりせず、
まずは「手を動かす」「音を出す」ことから始めてみてください。
このブログでは今後も、
趣味でギターを続けている方に向けて、
機材の選び方・練習の工夫・挫折しないコツなど、
“ちょうどいい温度感”のギター上達法を発信していきます。
ぜひブックマークして、また読みに来てください。
あなたのギターライフが、もっと楽しくなりますように。