パワーサプライって電力を供給するだけなのに色んなメーカーがいろんなモデル出してるから
結局どれ選んだら良いのか分からないって人も少なくない筈。
今回はパワーサプライを選ぶポイントから
目的別でこんな人はこのモデルがおすすめだよってところまで
ギター歴18年、現役ギター講師の筆者が解説するので
パワーサプライどれにしようか迷ってる人は是非参考にして欲しい。
パワーサプライの選び方
パワーサプライは所謂エフェクターではないから
この音が好きだから使う、というようなものではない
それ故にどう選んだら良いのか分からんって人も多いと思うけど
個人的にパワーサプライを選ぶ際に押さえておくポイントは
- 出力端子の仕様と数
- パワーサプライが占有する面積
- アイソレート機能の有無
- バッテリー搭載の有無
の4つかなーと思ってる。
順番に解説しよう。
出力端子仕様と数
まず初めに
何V(ボルト)何A(アンペア)の出力端子がいくつ付いているのか
というパワーサプライの基本となるスペックを確認しよう。
その前に自分が使いたいエフェクターを動かすために必要なV数とアンペア数、個数を把握しておくこともお忘れなく。
中には12V、18V駆動のエフェクターもあるから出力の端子は足りてるけどV数が合わなくて動かせないなんて事にならないようにしよう。
占有面積が何㎠なのか
次にボード内のスペースをどのくらい占有するのかも確認しよう。
パワーサプライってそれ自身にエフェクト効果は無い訳で
出来ることならコンパクトな方が望ましい。
欲しい機能と許容できるサイズ感が釣り合ったモデルを選ぼう。
幅×奥行きで大まかな占有面積が出せるから是非、電卓片手にスペックと睨めっこして欲しい。
高さに関してはあんまり気にしなくても良いんだけど
すのこ型ボードの下部に仕込む場合は一応確認しておいた方が良い。
アイソレート機能の有無
最近人気なアイソレート機能、アイソレーテッド仕様のモデル。
アイソレートというのは「隔離」「分離」という意味で
パワーサプライでいうと「個別に電力を供給出来る機能」という感じ。
通常は電源から来る電気をレギュレーター(電力分配回路)を通して各エフェクターに分配されるところ
アイソレート仕様では各出力毎に個別のレギュレーターが用意されている為
より安定した電力をエフェクターに分配する事ができる。
なぜアイソレートされていると良いのかというと。
アナログエフェクターとデジタルエフェクターの電源を共有する事で発生するデジタルノイズの対策になるから。
アイソレートされていないパワーサプライでアナログエフェクターとデジタルエフェクターを両方繋ぐとデジタルノイズが発生してしまう。
が、アイソレートされていれば電力分配回路が分かれているお陰でデジタルノイズの対策が出来、安心してアナログとデジタルの併用が出来る。
アナログはパワーサプライで、デジタルはACアダプターで電力を供給するという手もあるけど、
パワーサプライとACアダプターで個別に電源を取る必要があるから
電源の口数に限りがある場合は併用自体が難しくなる事もある。
アナログとデジタル両方使うのであれば、アイソレート仕様のものを採用した方がノイズ的にも電源周り的にもストレスフリーでおすすめ。
バッテリー搭載の有無
バッテリーを搭載し、充電して使えるモデルも最近増えてきた。
バッテリー駆動ができればボードの配置場所を自由に設定出来るだけでなく
足元から伸びていた邪魔な線が一本減り、
更に外部からの電源ノイズの影響をうけなくなるというメリットもある。
その代わりバッテリー残、バッテリーの劣化等
バッテリー非搭載のモデルでは考えなくても良かった事を気にしなくてはならないのは想像したよりも煩わしい。
その上でバッテリー搭載モデルに魅力を感じるのであれば検討してみても良いと思う。
用途別おすすめパワーサプライ
ここからは用途や目的などに合わせて
筆者がおすすめするモデルを紹介していきたい。
初めに断っておくと全て独断と偏見によるものだから
この記事を読んだ上で自分好みのモデルを探してみると良いかなと思う。
とにかくスペックが高い
フリーザトーン
- ACアダプターを挿せるAC電源ディストリビュート端子を3口
- アイソレーテッドされた9V端子を二口
- 安定化DC 9V端子を6口
- 全ての出力端子にショートプロテクション回路を搭載
徹底した低ノイズ設計
ととにかく至れり尽くせりのスペックを満載しつつ
更に
- 幅25.5cm×奥行き5.5cm×高さ3.8cm
- 重量485g
- 占有面積は140㎠
とまぁハイスペックモデル相応のサイズ感ではある。
DC出力だけでなくACアダプターも挿せるのはかなり嬉しい。
11個のエフェクターを安心して運用できるから余程巨大なボードでなければこれ一個で電源周りの悩みから解放されるしFREE THE TONEのパワーサプライを使っていると一目置かれる感がある。
予算が許すのであればこれを買っておけば間違いない。
もっと機能盛り盛りなのが良い!という欲張りさんには
MXR MC-403 POWER SYSTEMなんて如何だろうか。
- 9VDC出力8口
- 9VAC出力2口
- 18V DC出力4口
- 可変電圧出力2口
- フルアイソレート!
と誰がどう使うんじゃいというレベルの盛り盛り仕様
- 幅34.3cm×奥行き10.2cm×高さ4.4cm
- 占有面積は何と約350㎠
- 重量約2.6kg
とサイズも規格外!
ラックマウントも出来る!とのこと!
これを多機能と捉えるか駄機能と捉えるかはあなた次第!
ほとんどの人には必要の無い超弩級戦艦って感じ!
パワーサプライはデカくて重くないと気が済まない人には特におすすめ!
省スペース
ONE CONTROL DISTRO
とにかくスペースに余裕がないのであればワンコントロールのDISTROがおすすめ
- 9V出力を8口
- 12〜18Vで可変できる出力を1口装備
- ノイズ対策でアルミ削り出し筐体を採用
- ×幅9.8cm×奥行き4.8cm×高さ3.5cm
- 重量127g
- 占有面積が約35㎠
とコンパクトながら申し分ない性能を実現している。
パワーサプライがボードを圧迫する時代は終わったのだ。
占有面積はMXR POWER SYSTEMの10分の1だから
DISTROを10台並べて真のPOWER SYSTEMを作るかどうかはあなた次第って感じだね。
パワーサプライはとにかく小さい方が良いぜって人は要チェック
同じくONE CONTROLから出ている
DISTRO minimalもなかなかコンパクト
- 9V出力を8口
- 18V出力を2口装備
- 幅3.6cm×奥行き9.2cm×高さ3.8cm
- 重量113g
- 占有面積が約37㎠
最大10個のエフェクターに電力供給可能
なんだけど出力端子の位置が筐体の両サイドにあるからボード内にどう置くかっていうのが悩みの種になりそう。
使いやすさを考えるとDISTROに軍配が上がる。
バッテリー内蔵型
ロックトロンやロジャーメイヤーの輸入代理店日本エレクトロハーモニクスが販売しているパワータンクは充電式パワーサプライの先駆け的モデル
あらかじめ充電しておけば野外など電源の無い環境でもエフェクターボードを運用する事ができるスグレモノ
- 9V出力を6口
- 幅21cm×奥行き4.5cm高さ3cm
- 重量461g
- 占有面積94.5㎠
とちょっと大きめに感じるが奥行きが短いからボードに収めやすいサイズ感を実現している。
スペック、デザインともに優秀な一台。
充電式パワーサプライのメリットは電源環境がなくても使える事だけでなく
ACアダプターに接続されていない分電源もクリーンでノイズも少なくなるって事も大きなメリットでもあるからハイスペックなモデルを検討しても良いかも。
と思う反面、バッテリー残や劣化を気にしたりっていう思考ノイズが新たに発生してしまうという重大なデメリットもあるから
個人的には持ち出し用途限定にした方が良い気がしてる。
しかし将来的には充電池技術の進歩で基本的なスペックが爆上がりするから
いずれは充電式パワーサプライが覇権を握る時が来るんじゃ無いかと思ってる。
というかバッテリー搭載が当たり前になるかも。
現行の充電式パワーサプライでハイスペックモデルならVITAL AUDIOの VA-R8
- 9V出力を8口
- USB出力を搭載
- 全てアイソレート仕様
- 幅14cm×奥行き7cm×高さ3cm
- 重量238g
- 占有面積98㎠
パワータンクよりも占有面積が広いのが難点だけど基本スペックはダントツでこっちのが高い。
(実はこっちのが安い、、、)
持ち出し用途の小さめボードならパワータンク
ローノイズにもこだわるならVA-R8
って感じ。
充電式パワーサプライを中古で買う際の注意事項
中古で充電式パワーサプライを買う場合はPSEマークの有無をチェックすべし!
2019年2月以降に販売されたモバイルバッテリーにはPSEマークの表示が義務づけられているんだけど、2019年2月以前に製造、販売されて既に世に出てしまっているものにはPSEマークが付いてない事もある。
それが中古で出回る事があるんだけどそれが販売される事自体が違法になってしまうんだよね。
ちなみに
筆者も楽器屋さんでPSEマークの表示が無い充電式パワーサプライの中古を見かけた事がある。
中古楽器業界的にはあんまり周知されてないのかもしれない可能性もある。
販売側が悪いんなら買っても問題ないんじゃない?って思うのも当然なんだけど
例えばそれが不要になって、お店に買い取りで持って行ったりフリマサイトで販売しちゃったら今度はあなたが法に触れて罰則を受ける可能性があるって事
販売側が悪くてもPSEマークの無い充電式パワーサプライは絶対に買わない方が良いってのは理解してもらえたと思う。
シンプルなボード用
エフェクターは沢山繋がないけどスペックは高い方が良い
と言う事であればVITAL AUDIO va-05がおすすめ。
- 9V出力を3口
- 9V/12V/18Vを切り替えて使える出力が2口
- 全てアイソレーテッド仕様
- 幅11cm×奥行き6cm×高さ2cm
- 重量135g
- 占有面積66㎠
コンパクトとマルチを併用してシンプルにボードをまとめたい人
エフェクターに対して結構拘っていて少数精鋭を好む人
そもそもエフェクターを沢山持ってない人
同時複数のエフェクターは使いこなせないよって人ならこれがベスト
V数の切り替え3段階出来る端子が2口付いているのが素晴らしい
切り替え出来てもよくあるのが12/18とかってされても
そもそも12Vも18Vも用が無い人が圧倒的多数で
9V端子5口でアイソレート仕様のパワーサプライとしても運用できるっていう所の機能面が有難い。
デザインも赤のアルミ削り出し筐体を採用していてとてもカッコいい。
黒基調の地味デザインなモデルが多い中デザイン面にも拘ってくるVITAL AUDIOさん抜かりないっすね。
機能面、デザイン面でも高い品質を誇る逸品。
個人的に現行パワーサプライで1番のおすすめはこのVA-05
9V駆動のエフェクターしか使う予定が無く、もう少し予算が出せそうな人には
strymon のojaiがおすすめ
- 9V500mAの出力を5つ搭載
- 全てアイソレート仕様
- 幅8.1cm×奥行き5.8cm×高さ3.3cm
- 重量130g
- 占有面積約47㎠
評判を聞く限りノイズ対策はバッチリでコンパクト
本体よりも専用アダプターの方がデカイのと
価格もVA-05の約倍
9V端子のみ
と言うところを許せるのであれば絶対こっちの方が良い。
筐体も青くてオシャレな感じ。
良いサウンドは良い電源から
というキャッチコピーの似合う逸品。
安い
ギルドやTC electronicの輸入代理店としてもお馴染みのキクタニミュージックさんがリリースしてる格安パワーサプライKP-10が安くておすすめ
- 9V出力を8口
- 12V出力を1口
- 18V出力を1口
- 最大10個のエフェクターに電力供給ができる。
- 幅15cm×奥行き5cm×高さ3.5cm
- 重量180g
- 占有面積が75㎠
これでお値段約¥3000という驚異的なコストパフォーマンス
アイソレートやバッテリー駆動等のハイスペック機能は無いんだけどこんだけ安くて10個も動かせればもう文句なんて言えないよね。
他にも格安で出してるメーカーはあるけどキクタニミュージックさんは日本企業ってだけで安心感があるし出力の豊富さと占有面積のバランスを考えたらこれ以外はちょっと微妙かなーって感じ。
少なくとも、安いので十分と思っている方にも120%満足してもらえるスペックだから初心者が試しに買っても損する事はほぼ無いだろう。
まとめ
パワーサプライといっても様々なカテゴリーのモデルがあって
用途に合わせて自分に合ったものを選ぶことが大切。
厳密に言うと音に影響も与える機材でもあるから
とにかく音を優先したい人はなるべく予算を多く見積もった方が良いかもしれない。
少しでもこの記事が参考になれば嬉しく思う。